【怖い話】大蛇の住む沼

怖い話

まず最初にお断りしておく。

このシリーズはブログの趣旨とは全くかけ離れた話なのだけれど、我が家の子供が寝る前に「怖い話」をねだるので、ちょっと集めてみようという気になった。

気まぐれで話を書いていくので、本当にシリーズ化できるかも分からないけれど、「間借り」しておきたいと思う。

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昔、岩手の北上川の上流に光勝寺(こうしょうじ)というお寺があって、立派な和尚が住んでいた。

和尚は村人からも人気があり、何かと頼られていたそうな。中でも、母親と二人暮らしの幼い「おさと」は、とても和尚になついていた。おさとはとても可愛い娘で、和尚もたいそうおさとの事をかわいがっていた。

ある年の春、おさとと母親が裏山へワラビ採りに入った時の事である。

裏山と言っても、まだ雪の残る険しい山で、幼い足では母親から遅れることもしばしばであった。が、とうとうおさとは山の中で母親とはぐれてしまった。

おさとはひとり、母親の姿を求めて歩いたが、何処をどう歩いたのか山の奥へと迷い込み、黒々と水をたたえた沼の辺りに出たが、一向に母親の姿は見えず、とうとう沼のほとりでしゃがみ込んでしくしく泣き出した。

すると、一人の若い男が声をかけてきた。

「どうした」

「お母様からはぐれてしまったの」

「母親のところへ連れて行ってあげよう」

若い男はそう言って、おさとの手を引いてくれた。

二人は仲よく林を抜けて野原を歩いていき、やがて母親の近くまでやって来た。

思わず走り出そうとしたおさとに、若い男は「もう少しだけ、一緒にいてくれないか」と、悲しげな顔で引き止めた。

おさとは、お世話になった若い男の方を振り向いたが、その瞳は恐怖に凍り付いた。若い男の瞳は妖しく光り、瞬く間に怪しげな姿に変わり始めたのである。

そして、若い男が「なんて可愛いんだろう」と呟いた瞬間、おさとの悲鳴が響きわたった。

おさとの悲鳴を聞いて、慌てて駆け付けた母親の目の前には、大きな蛇が林の間を去っていく姿が映るのみだった。

実は、若い男は沼に住む大蛇の化身で、あまりの可愛さにおさとを飲み込んでしまったのだ。

この話を聞いた和尚は、大いに悲しみ大いに怒った。

「おのれ、あやかしめ!」

長い年月を経て、人に化けるようになった大蛇の仕業と知って、和尚は大蛇退治のため護摩壇 (ごまだん)を作った。

そして、断食して七日間の祈祷に入った。

和尚の激しい祈祷は大蛇にも届き、大蛇は締め付けられるような苦しみを味わった。そして、和尚が祈祷を始めて6日目の夜、大蛇は再び若い男の姿となって、和尚のところへ姿を表した。

「祈祷を止めなければ、今度はオマエを喰らってやるぞ!!」

しかし和尚は祈祷を止めず、若い男の顔は苦痛に歪んだ。

「どうか、どうかその祈祷を止めてくれ。私が悪かった」

「では、すぐに沼から立ち去れ!」

和尚はそう言って大蛇を追い払うと、再び護摩壇に向かって祈祷を続けた。

大蛇は苦しみながら、沼から抜け出て北上川へと逃げて行った。

しかし、祈祷によってすっかり弱っていた大蛇は、北上川の流れに逆らえず、どんどん下流に流され、黒岩の里まで流されてしまった。

そこで大蛇はようやく陸に上がることができた。

だが、やっぱり長年住み慣れた沼に帰りたいと考えて、ヌッと首をもたげて沼の方角に振り返ったとたん、大蛇の体は固まりそのまま石になってしまいまった。

今でも北上川に、この石は残っているそうな。

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